ねごとやTOP > のべるず@ねごとや > 13号ちゃんプロジェクト > Legend , named 13  > episode 15 1/4

Legend named 13 13号シルエット

プロジェクトの本丸!「Girl,called 13」Final Stage!!

episode 15 Daemon (1/4)

 マリの駆る万能武器カルケオン。
 ナノマシン集合体であり、マリの発する電気信号に応じて自在に形状を変えていくカルケオンの先端が刃を形成していく、その所要時間は“体感時間”にして十数秒。本来なら、コンマ数秒でいかなる形にも変化するカルケオンも、加速した時間軸の中では変形にそれだけの時間を使用者たるマリに感じさせることとなった。
 それだけに、加速した時間の中、もどかしかった思いを爆発させるかのようにマリは、長刀状に変化したカルケオンをふるい、アポロに斬りかかっていく。
 「今度はこっちの番!」
 第一撃は、アポロにかわされたものの、マリはその細身に似合わぬ身体能力を発揮して自身の身長よりも長く伸びた長刀をふりまわす。それに対してアポロは、徐々に後退していき、二人の間合いも徐々に詰まっていく。しかし、間合いが詰まっていけば、刀身の短いアポロの側もつけいることが可能となる。
 長刀とマリの体裁きが生み出す回転が引いたところを狙いすましたアポロは、その手にした銃剣でテイクバックなしの一気呵成の突きを放つが……
 「読みどおり!」
 勝利を確信したマリの叫び。
 ギリギリまでアポロの突きを引き寄せるや、マリは手にしたカルケオンの回転を止め、地面に突き立てた。さらに、その突き立てた長刀の柄を以てしてアポロの刃の突進を受け流しつつ、自身は突き立てたカルケオンを軸にして振り子のように飛び上がるや


 「ライトニング!」


 突進気味のアポロに対してカウンター気味の跳び蹴りを、数億ボルトの超高電圧とともに見舞う。
 「何の!」
 対してアポロは、やはりというべきか、マリだけでなく過去にはサチの攻撃をも退けた鉄壁の盾で自身を守る。
 円形の盾の上で無数の火花が踊り、さらには蹴りの衝撃でアポロは一旦後方に大きく退くことになった。
 ここで両者の加速状態は解かれ、アポロが後退したことにより、二人の間合いはまた大きく空くことになる。
 「ゼロ……どうやら、精神的な動揺は見られないようだな……」
 そのアポロの言に、マリは「ふん!」と軽く鼻を鳴らす。
 「何?さっきの話でわたしから同情を買うつもりだったの?」
 「別にそういう積りもないがな……」
 「でしょうね。だとすると、あまりにも安っぽいもの」
 そのマリの一言にアポロの顔色が変わった。
 「あら、気に障った?」
 挑発するようにマリはさらに追い打ち。
 「正直に言うと、いまでも動揺している。でもね……わたし、十三号の家で暮らしているんだけどさ、そこの街のおば……」と言いかけると一旦口ごもり「お姉さん達に言われたことあるのよね」と言い直した。
「女の子は、ここぞと言う時、負けられない相手を前にした時には絶対に弱いところを見せちゃいけないって……いまがその時だと思うわけ」
 「敵に弱みは見せられないということだろう?」
 このアポロの返答にマリはかぶりをふる。
 「微妙に違うんだけど……まぁ、そう思っているならそれでいいか。それに、あんたの話って、結局あんた自身のことだけなのよ。あんたも、商店街のお姉様方にこき使われるか、神崎ゆかりあたりに引っぱたかれた方がいいんじゃない?」
 「神崎ゆかり?十三号の仲間がどうしたというのだ?」
 「実験体だったというなら、十三号も同じ。でも少なくとも彼女は、自分を不幸なだけとは思っていないし、自分のためだけに力を使ったりはしない」
 「どう思われようと構わん……その積りでここにいる」
 「そんなこと、わざわざ自分で言うところが未練たらしいっての!」
 「黙れ!」
 叫びつつ、アポロは再び突進。
 それを冷ややかな目で見つつ
 「あと、もう一回かな……」
 と小声で呟いたマリは、長刀を構え直し、やや斜め気味、半身の体勢でアポロの突進を迎え撃つ。
 動物的な叫びを上げながら、アポロは大きくその銃剣を振り上げマリに斬りかかる。マリは、というとそれをかわすことなく、真っ向からカルケオンを振った。
 アポロの銃剣、マリのカルケオン、ふたつの刃がぶつかり合った結果、アポロの刃が真っ二つに折れ、その破片は回転しつつ、蝶の羽根が支配する結界の中へと消えていった。
 愕然とするアポロ、マリはその隙を見逃さず、加速すら必要としない神速の動きでアタッチメントに固定された愛銃スクリーマーを取り出すと
 「これでフィニッシュ!」
 銃口をアポロが手にする盾へと突きつけ、その引き金を引いた。すると……
 「馬鹿な!」
 スクリーマーの発する轟音と受けたアポロのうめきとともに、手にした盾、いままで鉄壁の守りを誇った円形の盾は砕け散った。
 後に残ったのは盾だったものの破片と、刀身の折れた銃剣のみ。
 一気に二つの武器を失ったアポロ。それでも咄嗟に後方に飛び退き、マリとの間合いをとったのはさすがというべきか。
 幼さの残った少年の顔に焦燥が露わになるが……
 「まだだ!」
 歯ぎしりとともに叫ぶアポロの目からは、まだ闘志は消えていなかった。
 「わたしのとっておき、アニヒレ−ターズビート相手では、さすがにその盾もくたびれていたみたいね……ところで、まだと言ってもどうする積り?その銃だけでわたしと戦う積り?いまなら、昔のよしみで……」
 「まだだと言っている!」
 叫びつつ、アポロはその手に残った銃剣、刀身の折れた銃剣を手放した。
 「何?」
 「ゼロ、お前のアニヒレ−ターズビート同様、俺にも切り札がある」
 「それを使うから、銃が邪魔になるとでも言うわけ?それに、素手でわたしとやり合う気?そんなことが出来る相手が存在するとしたら、十三号くらいなものだと思っていたけれど」
 「黙れ!」
 言うとともに、アポロは両手を広げ
 「うおぉぉぉ!!」
 と獣じみた雄叫びを上げた。すると――
 アポロの体が白い輝きを放ちだした。
 「何?」
 マリが戸惑うその僅かな合間にも、白い光はアポロの全身を覆い、それとともに熱を孕んだ大気がマリの顔を焼く。
 「発熱能力?」
 戸惑いつつマリがそう呟くと、アポロはニヤリと不敵な笑みを浮かべ頷いた。
 「十三号の例の発熱能力によって放たれる蹴りな……あれに近い熱量が、いま俺の全身を覆っている。つまり、俺はお前に触れるだけで良いというわけだ」
 無意識のうちにじりと後ずさるマリ。焦燥とまではいかないものの、どう対処したらいいのか考えあぐねているようだった。
 「能力の相性ね……確かに、相手をするにはわたしよりも十三号向きの能力だわ」
 戦端を開く前、パールバディが言っていたことを思い出しながら、マリはちらりとサチが戦っている筈の場所、蝶の羽根の結界を見やった。
 (さっさと片付けて、そっちのサポートをしたかったけど、そうもいかないみたい……)
 マリの思いとは無関係に、ジリッとコンクリートを焼きつつ、アポロが一歩を踏み出す。
 その途端、猛烈な熱風がマリの身を襲う。
 一瞬、腕をあげてその熱風から目をかばったマリだが、その刹那の合間にアポロは大きく地を蹴ると、間合いを一気に詰めてきた。
 この事態に対して、慌てて後退……後ろに向けて大きくジャンプする以外、マリは行動の選択肢を持ち得ない。
 それでも、後退している中でも、愛銃スクリーマーでの一斉射は欠かさない。
 ただ、発射された強化弾の悉くは……
 「無駄だ!」
 アポロが勝ち誇った声をあげた通り、その全ては彼が発する熱エネルギーの奔流に呑み込まれてしまう。
 以後は、追うアポロと逃げるマリという構図が二人の間に出来上がってしまうだけ。
 「懐かしいだろう、ゼロ?」
 アポロの哄笑がマリの背をつく。
 「施設……お互い島にいた頃、能力テストと称して“追いかけっこ”をしたものだ。お前がまだ“ファースト”だった頃の話だ」
 「過去は過去みたいなことを言って、やっぱり拘るわけ?」
 アポロの思い出話にマリは悪態をつくが、アポロは気にしていない。
 「結果は俺の負け越しだったが、今回はどうかな?何しろ、俺はお前に一度触れるだけでいいんだからな」
 そう、アポロの言う通りだった。
 アポロに触れられることは、イコール超高熱の炎に飛び込むのと同じこと。
 サチほどではないが、接近しての戦闘になじんだマリにとっては実に相手をしづらいのが、いまのアポロだった。
 「くっ!」
 歯ぎしりしながらも、マリは加速状態に突入。
 しかし、アポロもこれに反応。
 「ゼロ、逃がしはしない!」
 マリを追うアポロの姿は、その白く輝く全身と加速状態の為、周囲の空間を焦がす一筋の光線と化していた。
next
back
index
Project 13th Girl © ねごとや
since 2008/06/29