拙作の13号世界は、展開予定までを含めると・・・
1,本編(Girl,called 13)
2,パラレルその1(がぁる,maybe 13)
3,パラレルその2にしてパラれルその1の完結編という解釈(Memorial Apricot Pie)
例の昭和ライダークロスオーバーは、まだ下書きにもかかっていないので、現時点では除外。
そして、実はもうひとつ
4,パラレルその3(「ご近所SF」世界)
実は本編よりもご近所SFでの登場の方が先なのだ。で、いまご近所SF世界で何か作れないかと、こちらも思案中にして試作中。
・・・私は手を広げすぎだろう(笑)
試作品の始まりは、こんな感じ
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神社のご神木の枝にそれは引っかかっていた。
決して大きくはないその体を精一杯伸ばしながら、彼女はそれを注視する。
頭には白いフリルのついたカチューシャ、長く伸びた艶やかな黒い髪とその小さな体をこれまた黒いドレスで覆い、そのドレスの上からはこれまた白いフリル付きのエプロンをしている。
まるで、何かの芝居に出てくる衣装のような装いであるが、これは別に彼女がそうした嗜好の持ち主だからと言うわけではなく、そうした嗜好に合わせたということでもない。彼女の家は、商売をやっていて、彼女はその仕事を手伝う時にいま着ている服装をしているというだけ。言ってみれば、制服である。
ちなみに彼女の家の商売は、地元では多少は名の知れた洋菓子店。店の名は「グリーンリバー」。
彼女自身の名は、緑川サチ。
今年十一歳、小学五年生……ということになっていた。
その緑川サチが見上げる神社のご神木にひっかかっているそれは、グレーがかかった色の円盤だった。大きさとしては、直径十五センチに届くかどうかというところか。
彼女は、その円盤が引っかかっている高さをじっと見極め、一言ボソリと「軽い」と呟いた。
それから、彼女は周囲を見回し、余人の存在がないことを確認すると、手に提げたパン屋の袋を手の届く高さの別の木の枝に引っかけ、ぺこりとご神木に向かって頭を下げた。
「もしかしたら、枝を傷つけるかもしれません。だから最初に謝っておきます。ごめんなさい。」
小声でそう言うと、二,三歩下がる。そうしてから、再度助走をつけながら、ご神木に向かって一気にジャンプ。
すると、彼女の体はあっという間に五メートル以上の高さまで。そして、目標の円盤まで届くと、空中でそれを掴みながらもさらに上昇、十メートルほどの高さにまで達するとくるりと空中で反転し下降。今度は頭から地上に落下するかと思うと、ほぼ墜落直前に再び空中で回転。ほとんど音もなく、綺麗に着地して見せた。着地の瞬間、ドレスとエプロンの裾、そしてその長い黒髪が揺れただけで、息の乱れなどもみじんも見せない。
到底人間業とは思えないジャンプ力とボディバランスだった。
その人間離れした身体能力を発揮した彼女は、円盤を抱えたまま何事もなかったかのように先ほど別の木の枝に引っかけたパン屋の袋を再び手に取ると、またご神木に向かってぺこりと一礼。
そして、パン屋の袋をぶら下げ、円盤を小脇に抱えたまま、境内を後にした。
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あくまでも、ご近所SF世界の雰囲気を壊さずに展開するお話が作れればなと、本編、杏のパイと同時進行でお悩み中です。