感想まとめ、まずは小説二篇。
エントリタイトルは例によって囮だ(爆)
彼女はたぶん魔法を使う(樋口有介)← 電子書籍
美人女子大生、島村由美がひき逃げにあい、元刑事でいまはフリーライターの柚木草平はなくなった由美の姉、島村香絵の依頼で、事件の真相を探ることになる。
柚木草平シリーズの第一弾。
ミステリとしてみれば、いわゆる謎解きとはちょっと趣が違う。
主人公柚木の調査と推理は、元刑事という設定だけあって、地に足がついたものだし、ほどほどに駄目人間なところがいい(笑)
ジャンルとしては、ハードボイルドに近いのだろうが、さりとてそれにもなりきれない「ハーフボイルド」(笑)
事件の真相とその顛末(主に香絵絡み)はいささか苦いものだが、物語の経過とともに姿を見せる女性陣が魅力的。
別居中の奥さんである知子、元上司である吉島冴子もさることながら、私的にはなくなった由美の親友である夏原祐子。
柚木草平シリーズ、どうやら女性キャラの魅力が人気の秘密のようです。
妖精作戦 ラストレター(笹本祐一)
SFジュブナイルの名作「妖精作戦」の完結篇
いまの時代のライトノベルだったなら、もっと違う終わり方をしたであろう、そんな苦いラスト。
さっき感想をあげた「彼女はたぶん魔法を使う」もそうだが、どうも私は手放しなハッピーエンド作品にはなかなか巡り会えないようだ(笑)
異星人、秘密結社、超能力者、これらの張り巡らされた作品要素、実はどれひとつ決着はつきません。
その意味では、「若い」作品なのでしょう。
沖田君や榊君をはじめとした主人公の高校生達は相変わらずエネルギッシュなのだが、物語の結末は決してそれに報いてはくれない。
若干、投げっぱなしの部分もあるが、ひょっとしたらそれもこのシリーズが愛され続けている魅力なのかもしれない。
ただ、「熱さ」は本物だし、それは昨今のラノベにはない作品の力なんだろうと思う。