ちょっと考えているお話。
構想中のスペオペ「蒼天のアイオン」の前奏曲とでもいうべき短編を考えている。
考えている主人公が登場する以前のお話として
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彼女が見ている花。
それは、彼女自身を偲んで植えられた花なのだと教えられた。
マーガレット、白い花弁を持つキク科の花々が埋め尽くす庭の一角を眺めつつ、オープンテラスに佇む彼女は、テーブルに置かれた携帯端末を折り畳み、出されていた紅茶に口をつけた。
現在、彼女が身を寄せるウェブスター家の先々代当主が好んだというアップルジャムを溶かしこんだ紅茶は、彼女にしてみればやや甘みが足りなく感じられる。
「曾祖父が好んだ味だというのですが……お気に召しませんか?」
背後からした声に振り向けば、そこには彼女が現在身を置くこの邸宅の主、ウェブスター家の現当主が立っていた。
アレックス・ウェブスター、年齢二十八歳。
「フィリクス……あの子……彼、いえ、あの人がこういうものを飲んでいるのは見たことがなかったから」
目の前にいるこの自分よりもずっと年上で、同時にずっと年下のこの青年との距離感にはまだ彼女自身馴染めないでいた。それは、このアレックスという若い当主にとっても同じなようで、彼の言葉遣い、態度などにはまだ迷いが見受けられる。
「そうですか、大人になってからの好みなのかもしれませんね」
大人になってからのフィリクス・ウェブスター……それは、彼女にとって想像の外にある人物、いや生き物と言っていい存在と言っていいかもしれない。。
それでも……と彼女は、アレックス・ウェブスターの顔をついまじまじと見て思う。
大人になったフィリクス・ウェブスターが実在した結果として、いまアレックス・ウェブスターが彼女の前にいるのだと。
ただ、漆黒の髪と瞳、白い細面に宿るまるで精密機械を思わせるほど無表情さ、どこか陰を感じさせるこのアレックスという青年に、彼女の思い出の中にあるフィリクスという少年の面影を感じ取ることは出来ない。彼女の知るフィリクスという少年の屈託のなさも、明るさも彼からは感じ取れないのだ。
「復帰トレーニングの期間はまだまだあります。焦らずに進めていきましょう」
彼女の抱く違和感を察してのことだろう。そう語る彼、アレックス・ウェブスターに対し
「ありがとうございます……ウェブスターさん……」
と応じつつも、ここは「アレックスさん」と言うべきだったのか、それともより敬意を込めて「ウェブスター様」或いは「ウェブスター卿」とでも呼ぶべきだったのか、彼女は迷ってしまった。彼女の知っているフィリクス・ウェブスターに対しても、以前のように「あの子」と呼ぶべきなのか、それとも「あの人」なのか、「彼」なのか、或いはひ孫たるアレックスの立場を考えて「あの方」或いは「ひいおじいさま」とでも呼ぶべきなのか。
ただそれだけのことでも判断に迷ってしまう彼女を責めることは、少なくともいまの段階では誰にも出来ないだろう。
彼女、マーガレット・ワッツは、まだ十五歳な上に、つい一週間ほど前、百年近い眠りから目覚めたばかりなのだから。
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備忘録代わりに記録。
ボツ案になる可能性も大(笑)
登場人物のキャラクター性とか、まだ全然まとまっていない(爆)
とりあえず、世界観だけは徐々に固まりつつあるかな?というところ。
さて、いまから病院です。
また入院+手術になる公算大orz