感想は色々たまっているが、まずは二作品の感想を
憂鬱なヴィランズ(カミツキレイニー) ← 電子書籍
ヴィランズとは「悪役」のこと。
この場合の悪役とは、おとぎ話における
赤ずきんの狼であり
グリム童話の青ヒゲであり
白雪姫のいじわる王妃
といった憎まれ役のこと。
そして、ある絵本により、これら悪役の力を得た異能者達のこと。
絵本は全て陰惨な結末に終わり、力を得た異能者はその結末通りの事件を起こす・・・・・・ただし、あるルールを守っていればその運命からは逃れられる。
条件付きで特殊な能力を得るが、その条件を破った者には悲惨な結末が待っている、というのは異能力バトルものではよくある設定。
バスジャック事件を端緒として、主人公笠木兼亮はその異能バトルに巻き込まれるというものですが・・・・・・申し訳ない。この作には乗れなかった。
作者様は「こうして彼は屋上を燃やすことにした」で話題を呼んだと言うことで試しに読んでみたのですが、正直、次に期待。
南の子供が夜行くところ(恒川光太郎) ← 電子書籍
恒川光太郎は私にとっては「秋の牢獄」である。
同じファンタジックホラーであっても、この方には朱川湊人と違って、叙情よりもじわじわくるような怖さのホラーのイメージがある。
言ってみれば、やや陰惨な傾向が強いというか。
本書は、言ってみればオムニパス形式の南国ホラーであり、どこかユーモラスなイメージすらある短編小説群であります。
何といっても、出てくる邪神様がキュート。
私としては、あずまんが大王のちよちゃんのお父さんをついついイメージしてしまいましたよ。
いや、真面目な恒川ファンや文学求道者には怒られるでしょうが、あの理不尽な物言いとワケの分からない言動は、まさにちよ父(笑)
赤いものを食べるのだ(爆)
ただ、取り出すものが死体だったり、殺人をそそのかしたり、碌なことはしませんけどね。そしてその邪神に導かれる世界・・・・・・そこには、私達にとってのなじみ深い条理が通用しない異界の恐ろしさがあります。
次は同作者様の沖縄を舞台にしたホラー小説を読んでみたいと思わせてくれました。