ぬぬ・・・今回はあまり進められなかったorz
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図書館の中は、外から見た以上に広く、いくつもの書棚とテーブルが並んでいた。特に書棚の数は膨大と言ってよく、書棚と書棚の隙間がまるで複雑な迷路のような構造を生み出しており、香織は迷いのない足取りでその迷路の中に踏み込んでいく。
洋介は、というと、特にその必要もないのに、その香織の後を黙ってついて行く。いや、ついて行かざるを得なかった。
まるで強迫観念に取り付かれたかのように。
そして、ふと思った。
(ここの広さは何なんだ?)
書棚によって生み出されたコーナーをいくつも曲がり、果たしてどこまで続くのか。まるで書棚で出来た密林の中に迷い込んでしまったかのようだ。断じて、建造物屋内の広さとは思えない。
その異常性は、洋介の背中に冷たいものを走らせたが、それだけに目の前を歩く香織について行かなければという強迫観念はますます強くなる。
何度目のコーナーだったろうか。果てがないと思われた図書館内の隅に突き当たり、そこには窓を背にして、一冊の本を手にした香織の姿があった。
「読む?」
差し出された本。
真っ黒な装丁でタイトルもないその本を、洋介は気づいた時には受け取ってしまっていた。
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