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今週のダブル(3/21)

今週のダブル!!

今週は美人マジシャン、リリー・白銀が依頼人。
で、翔太郎くん、あんた朝の8時から何という態勢を・・・
まぁ、アキコがちゃんと(助走とひねりをきかせて)突っ込んでくれたけれど。

新ガジェット、でんでん。
対象を発見したら反応!・・・って、あの反応、分りにくすぎるわ(笑)

ところでリリィさん、いくら透明だからってあの恰好で街をうろつくとは・・・いや、私は個人的に大喜びですが、何か?

今週より遂にダブリューの男、ドクター井坂の変身体、ウェザードーパント登場。
井坂先生、かなり強いです。
ここ最近、最強キャラというと「仁王立ち→元気玉」というパターンが多かったのですが、ウェザーはちゃんと戦ってましたね。
そして、予想通り、極悪極まりない性格・・・というより、怖すぎです。ついでにちょっとエロいです(笑)
世のお父さん達が、ちょっと反応に困るくらいです。
一方、そのエロ怖いドクター井坂にぞっこんなタブー姐さん。
どうして、イイ女というのはこうも危険な男に(以下自粛)
いや、それ以前に婿殿の立場が(ToT)
若菜姫の方は、いよいよドクター井坂の手がかかったことによる変調が・・・
このところあまり見せなかった舌打ちが復活したのも、メンタル面での影響か?
テラー父さんが、若菜姫の変調をきっかけに井坂先生の暗躍を察知したようですが……もう遅い気が……。

照井竜は、というと、ウェザードーパント登場により暗黒面に。
人としての感情を考えれば、彼を責めるのは酷というもの。
彼をもとに戻せるとしたら、多分翔太郎とフィリップだけなんだろうなぉ……。

その翔太郎、終盤無茶な攻撃態勢(と思われる)ツインマキシマム
ヒート+トリガー
という荒技に挑戦!
・・・となったところで続きか・・・

リリィさんのその後も気になりますが。

さくら色旅団(17)

「ご近所SF さくら色旅団」(ブログ版下書きバージョン)インデックス

さて、そろそろオチも近づいてきましたが・・・そろそろ同時並行でまとめバージョンの作成にもかかった方がいいんでしょうね。
ところで、結構前になるのですが、リンク関係にある某氏が面白いと言っていた「文学少女」シリーズの第一作に手を出す。
世間ではとっくの昔から注目を集めていたのですけどね(汗
まぁ、映画にもなるみたいだし・・・

小説に目を通した感じでは・・・シリーズの他の作品にも目を通さないと断言はできませんが、第一作を読む限りはいわゆる太宰治オマージュが目立ちますね。
これを、素直にリスペクトととるか、パロディととるか、はたまた冒涜ととるかは、人それぞれかもしれませんが・・・
私は、この作品についても太宰作品に関しても、特に熱心なファンというわけではないので、コメントは差し挟まないでおこう(笑)

で、閑話休題。

「さくら色旅団」、今回はサトリさん対松村さんです。

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 「それはともかく……。」
 サチの感傷に気付いているのかいないのか、ハゴイタさんは一転話し相手をサンモトさんに戻した。
 「サンモト様、その瓶はいくらなんでもいささかまずいのでは?」
 「そうか?」ハゴイタさんの指摘に、サンモトさんはネコさんやカッパくんに見せた凄みのある笑みを再び浮かべる。「私ほど、この瓶が似合う者はそうはいないと思うがな。」
 一升瓶には、「魔王」というラベルが貼られていた。
 一方、サンモトさんを座の中心とするサチ達を横目に見つつ、サチ命名のサトリさん、母親の綾子をおののかせた長身の黒衣の男は立ち上がり、サチとは反対に彼女のいたグループ、町内会の面々が集う場へと歩いて行った。
 そして、ある人物の前に腰を下ろす。
 松村さんとその奥さんである。
 「ほう、珍しいですね。」とは松村さん。「さっきの緑川さんとの話からすると、今日は我々にはちょっかい出さないつもりだったのではないですか?」
 「人聞きの悪いことを言わないでほしいな。」とはサトリさん。「その時にも言ったはずだが、俺はこれでもTPOとかいうやつはわきまえているつもりなんだがな。それに……。」
 とサトリさんは、松村さんと奥さん、この初老の域にさしかかろうとしている壮年夫婦にグイっと顔を近づけて、まるで舐めつけるように両者の顔を見ると
 「普通の人間は、心の中を読まれると慌てふためいたり、ひたすら怯えたりするものだが、あんたらは違う。そういうのが全く平気みたいだ。」
 と歌うような口調で言う。
 「ふむ……。」松村さんは一人頷き「別に読まれても構わないものだからな。あんたが。」と顔をあげてサトリさんを見「人間だというのなら、すこしは慌てもするが、あいにくそうではない。」と柔らかな口調で答えた。
 「言ってくれるな。」とはサトリさんの返し。「まぁ、お互い、人間のふりをするのなら、もう少しはそれらしく振舞ったほうがいいだろうよ。」
 「考慮しておこう。ところで、わざわざ私達のところに足を運んできたんだ。何か、目的があるんだろう。」
 「ああ。」とサトリさんは頷く。「よその星から来たというあんたらが、あの女の子のことをどう考えているのか、すごく興味があってね。」
 「女の子……さっちゃんのことかな。」
 「そう……十三号という呼び方もするのだったな。」
 「その呼び方は……緑川さんはあまり好まないようだけどね。」
 「改造人間……というやつだからかい?」
 「そうだ。」
 サトリの力、人の心を読むというその能力の前では、ぼかした言い方も無意味だと悟っているのか、松村さんはあっさりとその事実を認めた。
 「で、あんた達は.あの子をどうしたいのかね?」
 問いつつ、サトリさんはまたじっど松村さんの顔を舐めつけるようにしてじっと見つめる。そして、ふっと力を抜くように息を吐きだすと、「くっくっくっ……。」と小さな笑い声をあげた。
 「そうか、そうか、そういうことか……。」一人納得したように頷くサトリさん。
 「あんた達は、本当に面白いことを考えるなぁ……。サンモト様が興味を持つのも無理がない。いや、あのお方までもがそれに一枚かもうとしているんだからな。」
 「あのお方?」とここで初めて口を開いたのは、松村さんの奥さん。
 「そう、あのお方だよ……あんた達も人間のふりをするつもりなら、自分たちの住む町の氏神にくらい気を払っていなよ。」
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さくら色旅団(16)

「ご近所SF さくら色旅団」(ブログ版下書きバージョン)インデックス

さて、もうそろそろ終盤戦にさしかかるかな?というところです。
本日は、3月14日。
ホワイトデーでありますが、円周率πの日でもあるのですな。

「さくら色旅団」、可能なら、本日はもうワンステップくらいは進めておきたいものですが・・・う~む・・・
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 サチ達の町内会の面々やほかの花見客のグループが、時間経過とともに、思い思いの座り方や姿勢で過ごしている姿とは見事に対照的と言えた。
 そうしてややぎこちないながらも、恰好を崩したネコさん、カッパくん、そしてサチの前にして、サンモトさんはニヤリと凄みのある笑みを浮かべ
 「では、サチ殿、お近づきの記念にここは一献。」
 とどこに隠していたのか一升瓶をドンと三人の前に出した。
 「あの……サンモト様、それは……。」
 出された一升瓶を見て、ネコさんが何か言いかけるが
 「何かな?」
 とのサンモトさんの一言にネコさん、そしてネコさんに次いで何かを言いかけていたカッパくんも黙り込む。
 いままでの自分に対する態度とは対照的な二人の姿に、首を傾げるサチであるが、そのサチの背後からまた声をかける者が現れた。
 「おや、これはお珍しい。サンモト様。」
 振り向いたサチの視界に飛び込んだのは、和服姿の妙齢の女性。日本髪が似合う色白の顔に、真紅の唇が映える。
 「それに、ネコ様にカッパ殿。あとは……。」言いつつ、その和服美人は腰を屈め、顔をぐっとサチに近づけた。「あなた、どこのお菊人形さん?」
 どうやら、サチを人形か何かと思っているようだ。
 「おいおい、こいつはお前のお仲間じゃないよ、羽子板。」
 その和服美人の勘違いを、カッパくんが正す。
 「あら、お人形の付喪神(つくもがみ)じゃないの。」
 「あんたとは違うって言っているでしょう。」とこれはネコさん。「あんたは羽子板の付喪神だけど、この子はあっち。」と、自分たちの隣のグループ、サチ達の町内会の集まりをさす。「あっちのグループの子。」
 「はあ、それがどうして、ここでサンモト様と?」
 「かわいらしいからと、このネコめが勝手に連れてきたのだよ。」とこれはサンモトさん。
 「拙者、いや私は私で、このサチ殿には前々から興味があったのでな。まぁ、よいから座れ、羽子板。」
 「ではお言葉に甘えまして。」
 言いつつサチの横に腰を下ろす和服美人。この時点で、サチの中で彼女の呼称は「ハゴイタさん」に決定。
 そのハゴイタさん、サチにすれば、自分の隣に座ったからわかったことではあるのだが、その体躯は驚くほど細い。いや、より正確な表現を用いるのなら「薄い」というべきか。サチは自分でも気付かないうちにハゴイタさんを凝視していたのだろう。
 「何、気になるの?」
 不意にそのハゴイタさんが、サチに問いかけてきた。
 「え、いやそういうわけじゃ……。」
 あわてて目を伏せるサチに、ハゴイタさんはほほ笑み
 「あなたくらいの年頃なら、まだわたしと遊んでくれるのでしょうね。」
 と意味ありげに言うのにサチが戸惑っていると、ハゴイタさんはまた微笑み、サチの頭撫でた。
 「あんまり考えなくてもいいんだよ。あたし自身はもう十分あんた達、人の子に遊んでもらったんだから……時が変われば、遊び相手だって変わっていくさ。」
 その言い方が、サチにはとても優しく感じられる一方で、なぜだかとても物悲しくも感じられた。
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さくら色旅団(15)

「ご近所SF さくら色旅団」(ブログ版下書きバージョン)

昨晩は、いつの間にか寝落ち・・・
最近、このパターンが多いぞ(汗

ということで、「さくら色旅団」もあまり進めていないorz
それでも、徐々にではあるが、終盤に近付いては来ています。
多分、その(20)くらいまでには終われば・・・・・・いいな(爆)
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 「有名人?どうして?」
 ここで、この大柄な男はちょっとバツの悪そうな表情を見せた。
 「いや、これは言い方が悪かったな……。」
 その反応にサチは首を傾げ「お店のことかな?」と呟く。
 「左様、左様!」
 サチの呟きに便乗するかのように、男は声をあげた。
 「お店のことでだよ。看板娘さんだろうからな。」
 男の言いようにの不自然さに、サチは不審な感じを抱かざるを得なかったが、「看板娘」という呼ばれ方は素直に嬉しかった。と同時に、いささかの気恥ずかしさもある。目を伏せるとまでもいかないものの、男から目を逸らすサチを男の声がさらに追いかけてくる。
 「そういえば、サチ殿。申し遅れたが、其れがしの名、山本五郎左衛門(サンモトゴロウザエモン)と申す。ヤマモトと書いてサンモトでござる」
 何だか、話し方はもちろんそうだが、名前まで時代がかった人だなとサチは思った。彼女の中で、母綾子が時折見ている時代劇の再放送「ぶらり信兵衛道場破り」が脳裏をよぎった。そして、そういえば、このサンモトさんなる人物の顔が、あの主役の役者さんに似ているという考えも。
 ともあれ、相手が名乗っているのに目を逸らしているのは失礼ではある。サチにしても、それくらいはわきまえている……というより、今日こそ顔を見せてはいないものの、店で働いている職人がそういう基本的な礼儀には厳しいせいで、そうした部分については、ことあるごとに躾けられているサチである。再度、このサンモトなる人物に向きなおり
 「緑川サチです。」
 と改めて名乗る。
 「ふむ。」サンモトさんは、改めて自分に向き直ったサチをじっと見ると、満足そうに頷き「なかなか良い目と顔つきをしておる。本日は木槌を持ってきていないのが惜しまれるほどにな。」と言い、さらにその視線は傍らのネコさんとカッパくんに。
 「これ、ネコにカッパよ。本日は花見の席。そのようにかしこまることはないぞ。」
 サチが見やると、ネコさんもカッパさんも、いつの間にか正座の姿勢。
 「えーと、じゃあ、お言葉に甘えまして。」
 口に出してそう言ったのはネコさん。先ほどまで、サチやカッパくん相手にしていたような砕けた口調とは大違い。彼女は、このサンモトさんなる人物に一目置いているようだ。言葉にこそ出していないが、カッパくんも同様で、そのことはネコさんと一緒につい先ほどまで正座していたことからも分かる。
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ところで昨日は、3月9日で、39→ミク の日でもあったのですね。
・・・全く、気がつかなかった(爆)

で1日遅れで・・・
ミク関連では最も好きな曲のひとつです。
いまとなっては、古い曲なんですけどね。

さくら色旅団(14)

「ご近所SF さくら色旅団」(ブログ版下書きバージョン)インデックス

昨日買った梨チップが、意外といける♪

まだ、名前は出ていませんが、このパートでサチと話している相手は、山本五郎左衛門。
山本と書いて、サンモトと読みます。
稲生物の怪録に出てくる比較的メジャーなお方・・・の筈。
広島には稲生神社がありますが、広島に行く機会があれば、覗いてみたいものです。


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 三個目の稲荷寿司を箸でその小さな口に運んだその時、ひょいと割り込むようにサチの眼前に長細い顔が入ってきた。
 「あ。」
 思わず声を上げたサチであるが、それでも稲荷寿司はしっかりその口に。
 「稲荷寿司……おいしい?」
 長細い顔の主、カッパくんが「キツネ」と呼んでいた男だった。
 サチは、口に入れた稲荷寿司をほとんど飲み込むようにして食べ終わると
 「はい。」
 「うん、そう。」キツネさん(サチ命名)はサチの答えに満足げに頷いた。「俺の稲荷が口にあって良かったよ。いや、俺、稲荷寿司だけは妥協できないんだよね。世の中で稲荷寿司が一番好き。君も?」
 問われたサチは、少し考えて
 「好きだけど、世界一というわけじゃ……。」
 「何だ、そうなの?」キツネさんは、いささか残念そうな顔。「じゃあ、稲荷より好きなものって何?」
 「えーと……。」サチの脳裏に最初に浮かんだのは、近所の総菜屋のある品。「茶巾寿司かな……近所で売っている。」
 この答えを聞いた途端、キツネさんの顔は残念そうな顔から一気に不快感が露になる。
 「茶巾寿司……あ、ダメ、俺、茶巾寿司は認めないから……。」ぶつぶつと小声で不機嫌にそう呟きつつ「だから、もう君には僕の稲荷は食べさせない。」とサチの眼前から稲荷寿司の入った重箱を取り上げると、離れた場所まで移動してそこで一人黙々と稲荷寿司をほおばり始めたのだった。
 一方、目の前で食べ物を取り上げられた形になったサチは呆然。
 「あー、いかんな、あの洗濯キツネは、普段は気のいい奴なのだが、稲荷寿司に関してなると、人というか狐が変わってしまうのだよ。」
 呆然とするサチの背後から野太い声。
 振り返ると、いつの間にそこにいたのか。目鼻立ちがまるでメイクした歌舞伎役者のようにくっきりとした大柄な男。身長はサチの知る限りにおいて、いままで会った大人の男性の中でも一番高いといえるほどで、横幅、恰幅もそれに見合うだけの立派さだった。サチが驚いて目を丸くしてしまうほど、大きな目でギョロリとサチを見つめている。
 風体もさることながら、サチが驚いたのは、これほど大柄な男がすぐ傍まで近づいたのにも関わらず、人間を遥かに超越している筈の彼女の知覚が一切その存在を感知できなかったことが。
 サチのそうした思いを感じ取ったのか、男はその赤い唇をクィっと曲げて凄みのある笑みを浮かべた。
 「驚かせたかな?これはすまん事をした。」
 「いえ……。」
 「ところで……花見は楽しいかな?」
 「楽しいです。」
 「どういうところが?」
 問い直されて、はて?とサチは考え込む。
 そうして、視界を周囲に巡らせてみる。
 白とピンクの間の色彩の桜の花、木々を彩る桜の花も、風に舞うその花びらもきれいだと思ったし、その木々の下で酒を飲み、肴に箸をつける人たちが楽しそうに思えた。
 だから、彼女はこう答えた。
 「桜の花がきれいなところ、皆とご飯食べること、それと……。」と少し考え、「まだ、良く分からないけれど、多分お酒を飲んでいる人が楽しそうなところも。」と答えたその瞬間、隣のシートから「ガハハ」と母綾子の大きな笑い声が響いてきた。
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さくら色旅団(13)

「ご近所SF さくら色旅団」(ブログ版下書きバージョン)インデックス

さて、いよいよその十三ですね。
サイエンスとテクノロジーと妖怪と天津丼を愛する男としては、妖怪パートは色々試してみたいこともあり。

閑話休題

13号ちゃんギャラリーに、APRIさんより、掲示板に投下して頂いた小野寺ひずる嬢を展示。
リアルでテンぱっていた時期だっただけに、あのギザカワユサ(*~~*)には癒されました。
ありがとうございます。

そして、再び閑話休題

「さくら色旅団」その十三であります。
登場するネコさんのビジュアルイメージは、ミシェル・ファイファー版キャットウーマン的な何か(笑)
ハル・ベリー版キャットウーマンにケチをつける気はないが、私にとってはミシェル・ファイファイーだ。
そして、カッパくんは……阿部サダヲを子供にしたバージョン(爆)
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 隣のシートへと移る間、ネコさんに手を引かれるサチを見て、町内会の面々の中にはギョツとした顔をした者もいたが・・・・・・。
 「まぁ、さっちゃんに本気で危害を加えられるやつなんていないだろう。」ということで、皆特に何か口を出すことなく、大人しく見送っていた。
 そうして、隣のシートに移ると、
 「何だ、ネコ、座敷童なんか連れてきて。」
 と最初に声をあげたのは、サチ命名のところの「カッパくん」。
 「いや、それが座敷童じゃないんだって。」
 ネコさんは苦笑交じりにそう言うのだが
 「座敷童でなければ、何なんだ?」
 と逆に問い返される。
 「さあ、何だろうね。サチちゃんというのが名前らしいけど。」
 ネコさんの答えを聞いて、カッパくんは近づいて、サチの顔をじっと見る。目深に被った野球帽からは、大きな瞳が覗く。その大きな瞳から放たれる強い眼光を据えたまま
 「おい、お前。何なんだ?」
 「何なんだって?」
 サチは、質問の意味が分らず問い返すが
 「とぼけるな。」とカッパくん。「あいつらの――。」とサチ達の町内会のグループを指さして「仲間なら、普通のやつの筈ないだろう?宇宙から来たとかいうヤツか?」
 「違うよ。」
 「じゃあ、何だよ。」
 「えーと……。」サチは、少し考え「改造人間。」と答える。
 「改造人間?」と反芻するカッパくんであるが、彼自身、意味はよく分っていないような口ぶりだった。
 「うん、改造人間。改造人間実験体十三号。少し前までは、十三号って呼ばれていたよ。」
 「ふん、変な名前!」
 カッパくんのこの反応に、サチはむっとして
 「変じゃないもん。十三号も、サチもお母さんがつけてくれた名前だもん。」
 「変だから変なんだよ。」
 「変じゃない!」サチも負けじと強く言い返す。「じゃあ、自分の名前は何なの?」
 「川太郎!」とふんぞり返って答えるカッパくん。
 「変!」とすかさず言い返すサチ。
 「変じゃねえよ!」
 「変だから変!」
 いまにもうなり声をあげそうな顔つきで睨み合うサチとカッパくん。
 「まあまあ……。」
 たまらずと言った体で、間に入ったネコさんは座の中央に並べられた器を取り、サチの前に差し出した。
 「そんなにいきり立たずに……ちょっとカッパ、何、喧嘩売っているのよ!」
 一方でカッパくんには釘を刺す。
 「あたしが連れてきた大事なお客さんなんだからね。それにあんただって、分っているでしょう?この子はひょっとしたら……。」と言いかけたところで
 「おい、ネコ。」と低い声で彼女を制す声。声の主は、サチ達からは離れたところで、一人手酌で酒をあおっている長髪の男。母綾子が、「サトリ」と呼んでいた男だった。「あまり余計な口を利くな。いまはまだその時じゃない。あのお方にもそう言われているだろう。それに……。」とサチの顔を見て凄みのある笑みを浮かべた。
 「その子の母親にも約束したしな。その子には“手を出さない”と。」
 「わ、分っているよ。」
 渋々と言った体で答えるネコさん。
 「それから、カッパ。」とサトリさん(サチ命名)
 「何だよ。」
 「お前もそうだぞ。あまり、つっかかるな。」
 「分ったよ。」
 カッパくんもまた、ネコさん同様、渋々といった体で頷いた。
 瞬間、シンとなるが、
 「まぁ、ちょっと変な空気になってしまったけれど……。」気を取り直すようにネコさん。「遠慮せずに、いっぱい食べて行ってよ。」と再び重箱を差し出すが。
 (うっ!)
 その中身を見た瞬間、サチは思わず声を上げそうになった。
 重箱の中には、ぎっしりと敷き詰められたアジの干物。サチ自身は、魚類も干物も大丈夫ではあるが、さすがにそればかりの器というのは興をそぐ。
 「ははは、バカだな、ネコ。」
 サチの表情を読み取ったのだろう。カッパくんが高らかな笑い声をあげる。
 「お前の弁当、魚だらけだからな。誰も手をつけないって。」
 「何よ。」負けじとにらみ返すネコさん。「あんたの弁当なんか、キュウリしか入っていないじゃない!」
 「悪いかよ。」
 「悪いわよ。」
 「キュウリ好きなんだからいいだろう。」
 「あたしだって、魚好きなんだから。アジにヒラメにサンマに太刀魚に……。」
 「アジしかないじゃないか。」
 「昨日、スーパーで特売だったのよ。」
 ネコさんとカッパくんが、サチをおいて言い争っている中、彼女は別の重箱に手を伸ばした。器の中にはぎっしりと敷き詰められた稲荷寿司。
 それを二つとネコさんに奨められたアジの干物。
 サチは、それらを口に押し込んで、二人の口げんかを見物しながら黙々と食べた。アジの干物も稲荷寿司も、彼女にとってはいささか薄味のように思えたが、それでも十分美味しいと思える味だった。
 サチがそれらを食べ終わるまでの間も、ネコさんとカッパくんの口げんかは続いており、彼女は仕方なしに、三つ目の稲荷寿司に手を伸ばしていた。
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さあ、こんな文章を書いていたら小腹が減ってきたwww
お昼は、何を食べようか?

さくら色旅団(12)

「ご近所SF さくら色旅団」(ブログ版下書きバージョン)インデックス

とりあえず、思いつきでも何でも
少しの分量でも、途切れさせないことが大事なのではないかと……。
細かい修正は、まとめバージョンで行う!

あと、ネコさんの名前の元ネタについては、「鍋島家」とか「猫騒動」とかでググって下さいな。

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 そう言って、ネコさんはサチの頬をそのしなやかな指先でつつき、クスクスと小さな笑い声を立て、悦にいる。
 「ねえ、お嬢ちゃん、サチちゃんというんだって?あたし達の方にちょっと顔を出さない?」
 ネコさんがそう言うのに、サチはつい「ネコさんのところに?」と問い返し、次いでしまったと思う。
 ネコさんという呼び方は、あくまでもサチの中での認識であり、それをそのまま呼び方として用いるには正しくないし、失礼だと思ったからだった。
 そうしたことを考えたサチであったが、彼女の心配は
 「そうそうネコさんのところ。」と嬉々として自らを指さすネコさんの行動を見る限り、杞憂に終わったようである。
 「ネコさんか、うん、いい呼び方だね。気に入った。」とネコさんは、さらに言う。「ネコと呼び捨てにされるより、ずっといいね。」
 「あの……。」ネコさんは、サチのこの呼び方が気に入ったようだが、それでも気になった彼女は、「ネコさん……お名前は何て言うんですか?」と聞いてみるが
 「名前、名前ねえ……アハ!」ネコさんは、サチの問いに対して、まるで誤魔化すかのように一際大きな笑い声を上げた。
 「“あたし達”にとって、名前って、あまり意味がないからねえ……昔は、“豊の方”なんて大層な名前をもらったこともあるし、名字を言うなら、“龍造寺”ってことになるんだろうけれど……やっぱり、ネコさんでいいわ。」
 と答えると、また大きく笑った。その開かれた口からは、牙のような犬歯が覗く。
 「え、でも……。」
 「いやいや、いいの、いいの。ネコさんで。それが気に入ったんだから。」
 なおも何か言おうとするサチを、ネコさんは手で制し
 「そんなことよりも、ねえ、サチちゃん。そろそろ、こっちは食べ物なくなってきたんじゃないの?あたしらのところなら、まだまだお弁当いっぱいあるよ。」
 とサチを再び誘う。
 誘われたサチは、ちらりと母親の綾子を見る。綾子は、新たに配られた発泡酒の缶を片手に、町内の人達と何事か熱心に話し込んでいた。
 「お菓子もあるよ。クッキーとか。」
 「でも、お母さんが……。」
 「おまんじゅうとかお団子とかもあるんだよ。」
 「行きます。」
 即答。
 知らない人に迂闊について行っては行けませんという話を、授業中にした学校の担当教諭が嘆きそうな反応。さらに言えば、洋菓子にはつられず、和菓子につられる様は、洋菓子店を営む綾子が見たら、目を覆いたくなるような光景だったろう。
 サチは、ネコさんに手を引かれるまま、自分の町内会が座すシートから、隣のシートへと渡っていった。
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さくら色旅団(11)

ファイル 421-1.jpg

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス

ひたすら疲れた……。
昨晩は何とか、同日中に帰宅し、ほぼそのままダウン。
だから、この文章の殆どと以後の文章、「さくら色旅団」の続きは移動中の電車の中で空いている区間を利用して書いたものです。
ネットブック持参なのはいいが、キーピッチなど、普段使っているメインパソとは違うので微妙に使いづらい。
ちなみに、小説のようにまとまった文章を書く時は、MSのWORDを使用していますが、メインのバージョンは2002、サブのノートとネットブックは2007。保存ファイルは互換モードを使用していますが、このあたりのバージョン違いも微妙に戸惑う部分でもありますね。

あと、ブログ、BBSのレス等々は本日木曜帰宅以後に対応させていただきます。申し訳ない・・・
こう言う時、やっぱり通信カードがあれば、便利だろうなと思いますが。移動中の携帯の電波状況を考えるに、日豊線の大分~宮崎間でどこまで利便性が発揮できるのか?と。
写真は、食事に寄ったお店に貼ってあった新聞の切り抜き。
やっぱり、地元では凄い人気なんでしょうかね?

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 一方、町内会の面々が各々用意してきた弁当を前にしたサチ。
 だし巻き玉子、生春巻き、アスパラベーコン、肉団子のソースあえ、唐揚げ、プチトマト。さらには、松村さんの奥さんの用意した三色おにぎりと麻婆豆腐。
 「花見の弁当で麻婆豆腐?」などと疑問に思う町内会のメンバーもいたが、専業主婦型侵略兵器である奥さんが怖いので、誰も言いださなかった。
 皆が持ち寄ってきたために、統一感はないものの、サチにすれば大勢で食事をするという習慣自体が学校の給食を除けば、あまりないのも確か。
 だから、持ち寄られた弁当の味そのものは勿論だったが、わいわいがやがやと雑然としつつも賑やかな場で大勢の大人たちと一緒に食事をする。その行為こそが、彼女にすれば楽しくて仕方なかったのである。
 そのわいわいがやと食事が進む中、用意されていた酒類の消費も進み、いつしか座の中央には、飲み物といえば、子供を含めて飲めない人用に用意されたジュースやお茶類を除けば、焼酎と日本酒の一升瓶のみという状態になっていた。ビール・発泡酒の類は、ほぼ松村さん、火野さん、そしてサチの母、綾子が中心となって飲み干していたのだった。
 「ねえ、お酒が足りないよ~。」
 男女ともなく、そうした声が上がり始め、何人かのメンバーが酒を調達しようと席を立ち始めたその時‐‐。
 「あーっ!!」
 町内会だけでなく、隣のグループ、その隣のグループまでもが振り返るほどの大きな声が上がった。
 声の主は、火野さん。古代火星人であり、いまは人間の青年の姿に偽装し、普段はたこ焼き屋チェーンで働く勤労エイリアンである。
 「誰だよ、くそー!!タコさんウィンナーを入れた奴は!!」
 何のことかと思えば、弁当のおかずのことのようだ。
 ちなみに、弁当、食べ物の方もあらかた片付きつつあり、サチなどは手持無沙汰気味に周りの器を眺めているばかり。
 「だから、誰が入れたんだよ!!」
 座の空気が倦怠感を帯び始めた中、自分の持つ皿の上のタコさんウィンナーにサチの恨めしい視線が注がれる中、そうした空気も視線も意に介さずに声を上げる火野さんに対して、誰ともなく
 「タコさんウィンナーって言ったら、おかずの定番だろうに。いちいち切れられてもな……。」
 「いくら自分の本体がタコに似ているからって……。」
 「その割にはタコ焼き屋を商売にしているのに……。」
 「タコのブツ切りはよくて、タコさんウィンナーが駄目だという理屈が分らん。」
 そういった声が上がり始めた頃、火野さんの背後に忍び寄る影があった。
 「ヘヘッ!!」
 言葉にならない声、正確には息遣いとともに火野さんにのしかかるのは、元野良にしていまは松村さん宅の愛犬、豆太郎。
 レトリバー系の血統の入ったその大柄な体を乗せられた火野さんは、たまらずその場に倒れこむが‐‐。
 「ヘッヘッヘッ……。」
 豆太郎は、一旦地面に転がったタコさんウィンナーを咥えるや、それをひとのみ。次いでそのまま倒れこんでいる火野さんの背にのしかかる。
 「わー、豆太郎、やめろ!よせ!やめろってば……ギャーッ!チャックは、チャックを下ろそうとするなーー!!」
 ほとんど悲鳴と言っていい火野さんの叫び声が響く中、
 「もう面倒だから、豆太郎、そのまま中身を食べちゃえよ。」
 何やら物騒な声もいずこかから上がるが、この段になるとさすがに豆太郎の現ご主人である松村さん(旦那)が立ち上がり、強引に豆太郎を火野さんから引きはがす。
 「おお!さすがは、熟年サラリーマン型侵略兵器!」という歓声が上がる中、豆太郎が引きはがされた火野さんの背中からは、くねくねとした触手がのぞいていた。本当に食べられる直前だったらしい。
 慌てて背中のチャックを閉める火野さん。
 その一部始終を、必死に笑いをこらえながら眺める綾子の横で、対照的に退屈そうな顔を見せ始めたサチの膝に不意に重みが生じた。
 「にゃあ。」
 ヤマトである。
 何か言いたげな様子をヤマトに感じたサチが首をかしげていると、その横からまた不意に生温かい息遣いが感じられた。
 はっとしたサチが振り向くと、そこには先ほど彼女が「ネコさん」と命名した女性の姿。
 いつの間に現れたのか、改造人間であり、通常の人間を超えた知覚を持つサチにもその気配はすぐ横に来るまで全く感じ取ることが出来なかった。
 「ふふふ……。」
 ネコさんは、じっとサチの顔を見ながらにやにやと笑っていた。サチが命名した「ネコさん」の名に似合う大きな瞳はきらきらと輝き、顔に比してやや大きめなその口はクィッと吊り上ってもいる。
 「あなた、本当にかわいいのね。座敷童じゃないのがもったいないわ。」
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さくら色旅団(10)

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス

さて、「ご近所SF さくら色旅団」も第10弾。
……マイルストーンになるポイントのはずなのにあまり進んでいないorz
いや、次のパートは食べ物絡みなので、本筋以上に力を入れるべき!私の作風的に(笑)
本篇たる「13号ちゃんプロジェクト」ワールド同様、ご近所SF世界の13号もご飯は大好きですよ♪

本日、アマゾンに注文していた書籍とCDのうち、CDだけ届く。
矢野顕子さんの「音楽堂」です。
購入した最大の理由は、この曲が収録されていたから!!

さあ、今週末と来週頭はローカル線が俺を待っているぜ!!
正確にはローカル駅ですけどね。

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 「曲者と言えば、お前さんも十分曲者だと思うがな。」
 そのマッドサイエンティストである綾子の背後にいつの間にか男の影。長身、長髪、目の細い男。綾子が「サトリ」と呼んだ男である。
 「ひぃ!」と小さな悲鳴をあげ飛び退く綾子。
 「な、何だい!びっくりするじゃないか!?」気丈に何とか言ってみるが、その表情の怯えの色は消せない。
 「そう怯えなくてもいいって……昔話の時とは違って、俺はいまじゃ十分TPOっていうやつをわきまえているんだぜ。」
 「ふん。随分と人間臭いことを言うじゃないか。」
 言い返す綾子の言葉を聞いて、サトリと呼ばれた男は「くっくっ……。」と低い笑い声をあげる。
 「いいだろう?あんたんところの町内の連中もかなり人間ぶって暮らしているようだしな。」
 「人の頭の中を覗いて悦に入るようなお人はいないけどね。」
 「言うねえ……。」
 サトリはまた低い笑い声をたてると、綾子に背を向けるとその背を向けたまま
 「心配するな。あの子にはちょっかい出さないよ。いまじゃあんたの頭の中も、すっかり街のケーキ屋になってしまっているみたいだしな。」
 と言いつつ手を振って、自分たちのグループ、あのカッパくんやキツネさん、ネコさん達が揃った隣のスペースへと去っていった。
 その背を睨みつけながら
 「あいかわらず何もかもお見通しかい。いやな相手だよ、全く……。」
 と呟いた綾子は、ぐいっと手にした発泡酒をひと飲みにした。
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さくら色旅団(9)

昨日が、22でにゃんにゃん、猫の日。では、今日は?
23……にいさん?……セイラさんの日か?
「兄はオリコです……わたしはアメックスなのに……。」

・・・・・・・・・し、失礼しました(^^ゞ

「ご近所SF さくら色旅団」第9弾。
相変わらず、地味な展開ですな(爆)
のんびり行きます。

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス

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 一緒に暮らしているサチでさえ初めて見る綾子の表情。
 それを不思議そうに見上げながらも、サチは自分の足元に何かがすり寄ってきているのを感じだ。視線を落とすと、そこには黒い猫の姿。
 ヤマトである。
 ヤマト、このサチの住む町内を縄張りとしている雌の黒猫は、サチと視線が合うと同時に「にゃー。」と鳴き声を上げ、次いで綾子を見上げながら、今度は先ほどよりも高い声で「にゃー。」ともうひと鳴き。
 その様をじっと見ていたサチは、一旦屈むとヤマトを抱き上げ、
 「お母さん。」
 と綾子に声をかけた。
 声をかけられた側の綾子は、彼女が「サトリ」と呼んだ男をじっと見つめていた為、最初はサチの声に気がつかないようだったが、サチが再度「お母さん。」とひときわ高い声で呼びかけると、弾かれたように振り向いた。
 「何だい。サチ。」
 答えつつ振り向いた綾子の鼻先には、サチのではなく、ヤマトの体毛に覆われた黒い顔。
 「何だよ。ヤマトを突き出して……。」
 状況が理解できず、戸惑う綾子にサチは強い口調で言う。
 「お母さん、謝って。」
 「え?」
 「ヤマトに謝って!」
 「謝れって……あんた、何を言っているんだい?」
 「さっき、ネコさんに言っていたこと。」
 「ネコさん?」
 自問しつつ、綾子はそれがつい先ほどまで自分が話していた相手、あの派手目な女性を指しているのだとややあって理解する。
 (まぁ、ネコさんという表現は間違ってはいないけどね。)
 思いつつ、彼女は改めてサチに問い直す。
 「さっきのあの派手な女の人に言っていたこと?それがどうして、ヤマトに謝ることになるの?」
 「お母さん、さっき言っていたでしょう。猫のくせに人の名前を憶えていたって。」
 「あー、言っていたかもね……。」
 サチがネコさんと呼ぶ女性とのやり取りは、綾子にとっては売り言葉に買い言葉の応酬のようなものであり、果たして何を言ったのか、細かい部分までを憶えているわけではない。しかし、サチがそう言うのなら、間違いなく口にした言葉だろうとも思う綾子である。
 「だから、ヤマトが怒っているよ。ちゃんと憶えるって、人の名前。」
 「え~と……。」
 この段階で、綾子はまた話についていけなくなった。
 困惑する綾子を、サチが睨み、ヤマトは不服そうに「フー!」と荒い息を吐いている。
 「えーと……。」やや焦りを感じつつも、一旦このコンビから視線をそらして頭の中を整理した綾子は、もう一度サチに正面から向きなおり、「あのね……サチ。それ、あんたがヤマトからそう聞いたの?」と問い返す。
 サチはその問いに黙って頷く。
 「ヤマトが……あんたにそう言ったの。」
 サチは、この問いにも黙って頷く。
 「う~ん・・・…。」綾子は唸りつつも第三の問い。「あんた、いつの間に猫語が分かるようになったんだい?」
 この問いに対し、今度は逆にサチが首を捻る。そうして少し考えた様子を見せた後
 「猫語?ううん?」と一旦首を横に振り「そんな気がしただけ。」と答えた。
 この回答に綾子は「はぁ……。」と大きく息を吐き黙り込んだ。
 (あいつらだけでなく、身内にも科学的でないことを口走るのがいるのかい。)と思った綾子は、ふと視線をサチの腕の中のヤマトに移す。
 綾子の視線に気づいたヤマトは、じっと彼女を見返してきた。その大きな瞳は、人間のような意志が感じられる光に満ちている。
 (考えてみれば、このヤマトも普通の猫じゃないんだよね・・・…。)
 そう考えが及んだ綾子は思い出す。
 ヤマトというこの雌の野良猫は、かつて高次元生命体と接触した影響で、人間から見れば「超能力」と言っていい能力を獲得した猫だった。
 (なら、普通の猫と違って、人語を解していても不思議はないか。)
 そう思い直した綾子は、少し屈み込んで目線の高さをサチの腕の中にいるヤマトに合わせた。
 「ごめんね、ヤマト。」軽く頭を下げる綾子。これは、彼女にすれば、サチの言うことをそのまま信じたというよりは、彼女なりにサチの気持ちを尊重したつもりの行動だった。「さっき言っていたのは、つい弾みでね……悪かったよ、謝る。本気でそう思っているわけじゃないんだよ、分かっておくれ。」
 そこまで言って、ちらりとサチの顔を見てみる。
 サチは、その細い目をさらに細め、満足そうな笑みを浮かべていた。
 ヤマトは……というと、この雌の野良猫も「にゃあ。」と満足げな鳴き声を上げると、もぞもぞとその黒い体を動かしてサチの腕の中から飛び出すと、もう一度「にゃあ。」とひと鳴き。二人から離れて、いままさに手持ちの弁当を広げようとしている町内会のグループへと歩み寄っていった。
 「ヤマトが分かったから、もういいって。」
 そう言いつつ、ヤマトの後ろ姿を見送るサチを綾子は苦笑しながら見ていた。
 (本当に科学的じゃないねぇ……。本当はこの子こそ、科学の申し子みたいなものなのに。)
 思いつつ、綾子はサチの頭に手をおき、
 「さあ、お弁当とかバーベキューの準備も進んだみたいだし、あんたもご馳走になっておいで。」
 と今度は彼女を送り出す。
 「うん。」と笑顔で頷いたサチは、履いていた靴を脱ぐと町内会のスペースに。
 中の一人から乾杯用のコップ、自動車修理工場の木島とともに二人だけジュースの入れられた紙コップと割り箸を受け取ると、みんなで持ち寄った弁当が広げられた場へと飛び込んで行った。
 サチが飛び込んだそのスペース、そこに集まっているメンバーの顔を見ながら、綾子は再び苦笑。
 (全く、猫のヤマトも含めて、みんな揃いも揃って曲者揃いったらありゃしない。)
 そんなことを考えながら、町内会のメンバーから発泡酒の缶を受け取った綾子、いまは町の洋菓子店を営む彼女は、かつては悪の秘密結社のマッドサイエンティストでもあった。
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さくら色旅団(8)

さて、広島の某氏は、私に洗脳されていると人聞きの悪いことを言うが(笑)、私は私で金沢の誰かさんに影響を受けていたりする。

「銀河ヒッチハイクガイド」のDVDも買ったしな(笑)

そういえば。「容疑者X」のアレのそれでこういうサイトに入り浸るようになった。

役に立たない数学用語辞典
「シンゴー!シンゴー!」には笑った♪
もともとこの種の用語やネタ話は好きだったとはいえ……。
読み始めるとはまってしまう(笑)
もちろん、リーマン予想などを扱ったNHKのドキュメンタリーとかも好きですよ。ああいうの、レンタルとかで見れないのかな?

話を戻して……この際、洗脳されついでに梶井基次郎でも読んでみるか?

と話は脱線しまくりのまま、「ご近所SF さくら色旅団」ささやかながらも続きです。
あと、出来れば、瀬戸大将あたりは出したいなぁ。
うちと古い付き合いの方なら、たぶん分かるはず(笑) > 瀬戸大将

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス

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 「座敷童?」
 ネコさん(仮)の素早い動きもさることながら、初めて聞くと言っていい言葉に戸惑うサチがそう問い直していると、彼女とネコさん(仮)の間に母の綾子が割り込んできた。
 「違うよ。」
 「あら違うの?」
 サチの代わりに発せられた綾子の答えに、ネコさん(仮)はいささか残念そうな反応。
 「あんたらみたいに非科学的なものじゃないよ、うちの子は。まぁ、“福の神”ってところは同じだけどさ。」
 「ふ~ん……。」ネコさんは、目を細めて興味深そうに綾子とサチ、二人の母子の顔を見比べていた。「“うちの子”ねぇ……親子というには似ていないみたいだけど?え~と、ドクター岡部だっけ?」
 「いまは、緑川だよ。何だい、猫の癖にちゃんと人の名前を憶えておいてくれたのかい?」
 「あたしら、猫は執念深いんだよ。でも、ドクター岡部……じゃなかった、いまは緑川さんかい、“福の神”というのも、十分非科学的なんじゃないの?」
 笑いながらそう言うネコさんの口はつりあがり、目もひときわ大きくなっていた。心なしか、その鼻の下には長細い髭のようなものまで見える。この時点で、サチの中からは、ネコさんからは(仮称)は消え、正式名称になった。
 「余計な御世話だよ。いいから、あんたらはお仲間の所に戻りなよ。」
 「あん!」とネコさんは甘えた声。「そんなに邪険にしないでよ。ねえ、座敷童じゃないなら、その子のこと、せめて名前くらい教えてよ。猫可愛がりするからさ。」
 「あんたらの猫可愛がりはシャレにならないんだよ。それに……。」と綾子が何かを言いかけて時、
 「そうか、緑川サチ……それがいまの名前で、去年までは“改造人間実験体十三号”って、呼ばれていたのか?」
 いささか訛った太い男の声がしてきた。綾子とサチが声の下方向を見ると、そこには背の高い長髪の男。ネコさんやカッパくんとは対照的に眼は細い。
 その男の姿を見た途端、綾子の顔にはネコさんを相手にした時には見せなかった明らかな怯えの色が浮かんでいた。
 「サトリ……あいつも来たのかい?」
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さくら色旅団(7)

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス
さて、「ご近所SF さくら色旅団」ささやかな再開です。

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 「おうキツネ、御苦労さん。」
 最初に声を発したのは、一見サチと年の差はなさそうな男の子。野球帽をかぶっているが、その帽子のツバから覗く目は大きく、その口先はちょっと尖っているように見えた。
 顔色もやや緑がかって見える。
 その緑がかった顔色の男の子相手に、「何だよ。」と不満な声を上げるのは、先ほど火野さんに「タライ野郎」呼ばわりされた顔のとがった男。いま男の子から「キツネ」と呼ばれた男である。
 普通の人間よりも、目も耳もいいサチは一連のやり取りを聞いていて、(あの人、キツネさんという名前なのかな?変わった名前だな。)とも思う一方で、町内会や商店街の大人達と会話することの多い彼女にすれば、緑がかった顔色の男の子、背格好からして自分と大差ない年頃らしき彼が、大人であるキツネさん(仮)へのぞんざいな口の利き方に違和感を覚えてもいた。
 「大体おキツネ様の俺にこんな雑用を押し付けやがって。」
 「ふん。」キツネさん(仮)の抗議に、緑色の男の子、サチがこの時点ミドリくんという仮称をつけた男の子は、全く応えた様子はなく、鼻で笑いながら応じる。「そういうのは、神社のひとつも持っているお稲荷様が言うことだろう?お前、ただの洗濯屋じゃん。」
 「クリーニング屋といえ。」とキツネさん(仮)。「正確には、洗濯ギツネだ。」
 睨みあうキツネさん(仮)とミドリくん(仮)の間に、今度は妙齢の女性が割り込んできた。
「まあまあ……。」とキツネさんに声をかけるのは、目も口も大きい女性。まずは美人といえる容姿だったが、サチの町内には少ない派手なタイプの女性。特別厚化粧とは思えないのだが、パーツ一つ一つの主張が強い派手な造作の顔つきの女性だった。髪の毛はパーマでもあてているのだろうか、まっすぐなサチのそれと比べると強いウェーブがかかっている癖の強い髪形だ。
 「御苦労さま。ほら、キツネさんの大好きな稲荷寿司、いっぱい買ってきたから。カッパ君もあまり構わないの。」
 言いつつキツネさんに途中で買ってきたらしい紙袋を渡した。
 このやり取りで、サチの中ではキツネさんは仮称から正式名称に。ミドリくん(仮)の名称はカッパ君に変更。そして、この新たに現れた女性は、ネコさん(仮)に。
 彼女の瞳を見て、サチはヤマトを思い出したのだ。
 そのネコさん(仮)とサチの目が合った。
 ネコさん(仮)は、大声で
 「あら、お隣さんは去年と同じだけど……私達のお仲間も混じっているのね。」
 と言いつつ、とても人間業とは思えない素早くしなやかな身のこなしであっと言う間にサチの眼前に。
 改造人間であり、まだ子供の身でありながらも人間の限界を遥かに超えた身体能力を持つサチですら、そのネコさん(仮)の動きには目がついて行かなかった。
 「ねえ、あなた。どこの座敷童?」
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さくら色旅団(6)

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス

今日は、あまり書き出す時間が取れなかったorz

明日は、また午前午後で作業場所が違う。
よくよく考えると、移動時間と手間が大きなロスだなぁ・・・

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 火野さんが取っておいてくれた場所に辿り着いてみると、彼と隣のグループのメンバーらしき人物との罵り合いは一段落したようで、両者ともに黙り込んで地面に敷かれたブルーシートの上、両グループの境界を表す仕切り線を中間として、両者ともに黙り込んで憮然としていた。
 (うわぁ……話しかけにくい雰囲気だなぁ……。)
 誰もがそう思っている中、一緒にいる町内会の面々の顔を一通り眺めた松村さんは、やれやれと肩をすくめつつも一歩前に歩み出し
 「火野さん、ご苦労様だったね。」
 と火野さんにねぎらいの言葉をかけつつ、いつの間にクーラーボックスから取り出したのか缶ビールをひとつ差し出した。
 「ああ、松村さん……。いや、仕事のついでだから別によかったんだけどね。」気のない返答を返しながらも、ビールを受け取る火野さん。
 「そうかい。仕事の方、今日はどうなっているの?」
 「町内会の花見だって言ったら、会社の方からこっちに顔を出しておくようにって。店の方は、今日はもう出なくてもいいんだ。」
 「それは良かった。じゃあ、火野さん、ビールでも飲みながら待っていてよ。弁当とかバーベキューとか、準備の方はこっちで全部済ませるからさ。その間、休みなよ。本当、場所どり、仕事もあったのにご苦労さんでした。」
 「いや、まぁ、大したことじゃなかったんだけどね。」
 言いつつ、火野さんの顔はまんざらでもない。このあたりの人当たりのよさは、さすがに松村さんだと、町内会の面々は感心した。
 後に綾子は言う。
 「松村さんは、熟年サラリーマン型侵略兵器だからね。高性能の“気配り回路”搭載は伊達じゃないんだよ。」
 ただ、サチは綾子の言う以外にも、松村さん自身の優しい性格もあるのだと思っている。それは、実際に何度となく家を訪れるなどの交流の機会を持ったことのあるサチならではの感慨でもあった。
 松村さんの言葉通り、火野さんには休憩をしてもらっている間に、バーベキューのセッティングをしたり、料理を広げたりといったことは、町内会の面々が手分けして行った。サチは、バーベキュー班に混じって、肉をたれに漬け込んだりといったことで手伝っていた。
 そうして、ひと通りの準備が整い、そろそろ本格的に宴席が始まるというその時。
 サチ達の町内会と隣り合った場所のグループの面々が、ぞろぞろと集まり始めていた。
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さくら色旅団 パートゼロ

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス
このパーツを入れ込むのを忘れていたorz

言ってみれば、「さくら色旅団」のパートゼロとでもいうべきもの。
それ故の、エントリタイトルです。

最終的には、このパーツをどこかに組み込み+編集したものがまとめバージョンとなる予定です。

ところで・・・・・・交流のある某サイトを覗いて・・・

貞子たん、何だか知らないうちにネタが広まっていますよ、貞子たん(笑)

知らない人向け→貞子たんネタ元(笑)


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 神社のご神木の枝にそれは引っかかっていた。
 決して大きくはないその体を精一杯伸ばしながら、彼女はそれを注視する。
 頭には白いフリルのついたカチューシャ、長く伸びた艶やかな黒い髪とその小さな体をこれまた黒いドレスで覆い、そのドレスの上からはこれまた白いフリル付きのエプロンをしている。
 まるで、何かの芝居に出てくる衣装のような装いであるが、これは別に彼女がそうした嗜好の持ち主だからと言うわけではなく、そうした嗜好に合わせたということでもない。彼女の家は、商売をやっていて、彼女はその仕事を手伝う時にいま着ている服装をしているというだけ。言ってみれば、制服である。
 ちなみに彼女の家の商売は、地元では多少は名の知れた洋菓子店。店の名は「グリーンリバー」。
 彼女自身の名は、緑川サチ。
 ただいま十歳、小学四年生……ということになっていた。


 その緑川サチが見上げる神社のご神木にひっかかっているそれは、小ぶりな風呂敷包みだった。大きさとしては、直径十五センチに届くかどうかというところか。
 彼女は、その風呂敷包みが引っかかっている高さをじっと見極め、一言ボソリと「軽い」と呟いた。
 それから、彼女は手に提げたパン屋の袋を彼女の背後に控えていた老人、初対面の老人に預けると
 「もしかしたら、枝を傷つけるかもしれません。だから最初に謝っておきます。ごめんなさい。」
 と小声で言いつつ、ぺこりと頭を下げた。その様子を見て、パン屋の袋を預けられた老人は「ほう……。」と感心したように声を上げる。
 お辞儀を終わらせた彼女は、そのまままっすぐに二,三歩下がる。そうしてから、再度助走をつけながら、ご神木に向かって一気にジャンプ。
 すると、彼女の体はあっという間に五メートル以上の高さまで。そして、目標の風呂敷包みまで届くと、空中でそれを掴みながらもさらに上昇、十メートルほどの高さにまで達するとくるりと空中で反転し下降。今度は頭から地上に落下するかと思うと、ほぼ墜落直前に再び空中で回転。ほとんど音もなく、綺麗に着地して見せた。着地の瞬間、ドレスとエプロンの裾、そしてその長い黒髪が揺れただけで、息の乱れなどもみじんも見せない。
 到底人間業とは思えないジャンプ力とボディバランスだった。
 その人間離れした身体能力を見せたサチは、抱えていた風呂敷包みを控えていた老人に渡し、入れ替わりに預けていたパン屋の袋を受け取った。そのやりとりの際、老人はニコニコと笑みを浮かべながら「お嬢ちゃん、ありがとう。」と礼を言うが、そこで初めてサチは、目の前の老人と自分とが初対面であることに気づく。
 いや、初対面どころか、サチの知る限り、彼女の暮らす町内では一度も見かけたことのない老人である。
 灰色と言っていいだろう。地味目な色合いの着物姿。
 春にさしかかった時期とはいえ、まだまだ肌寒い季節だというのに、その和装の襟元からは地肌が見えている。サチには着物の知識はないので、彼女自身には呼称に関する知識はないが、いわゆる肌襦袢を着ているようにも見えないし、羽織を上からまとっているわけでもない。しかも、その顔も人間離れしているといっていいほど長細く、その口の周りは真っ白なヒゲに覆われ、そのヒゲはアゴ先から胸元にまで伸びている。
 サチが首を傾げていると
 「ふむ、どうやら思っていた以上のようじゃな。嬢ちゃん、あんた合格じゃよ。」
 と一人頷きながら、小さな笑い声を上げている。
 サチが再び首を傾げると、その笑い声は一段高くなり
 「ほほほ……まぁ、何の事やら分らんだろうな。まぁ、いい。分らないなりに聞いていて欲しいのじゃが、嬢ちゃんは一月後にちょっと変った連中に会うことになる。ここの町内にも随分と変った者は多いが、そうしたのとはまたちょっと違った連中じゃ。」
 と高くなった笑い声に次いで、これまた上機嫌な声で老人はサチに語りかけた。
 分らないまま、とりあえず礼儀として頭を下げたサチだったが、下げたその顔を上げた時、そこには老人の姿はなく、ただ無人の神社境内の風景が目に映っただけだった。


 緑川サチ、彼女が生まれて初めて「花見」というものに参加するほんの一ヶ月ほど前の出来事である。
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さくら色旅団(5)

さくら色旅団(BLOG下書き版)インデックス

本日、おそばを食べに郊外で車を走らせておりますと、このような看板を発見!
ファイル 392-1.jpg

果物の直売所の看板でした。

「さくら色旅団」第五弾です♪

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 一行を乗せたマイクロバスは、途中渋滞や事故に巻き込まれることもなく、出発してから程なくして目的地に到着。
 公園の駐車場は混んではいたものの、とりあえず木島さんの運転してきたワゴンの置き場所は確保。マイクロバスの方は所定時間に迎えに来て貰うと言うことで、乗客と荷物だけを公園で下ろし、それまで別の場所にて待機と言うことになった。
 「松村さん、バーベキューセットも持ち込んで良いの?」
 木島さんのワゴンから荷物を下ろしているメンバーからの質問に
 「持ち込んでも大丈夫。公園の管理事務所の方へは、火野さんが話を通してくれたらしいから。」
 と松村さんが答える形で、必要な荷物は手際よく各人によって分担されて公園に運び込まれていく。
 その様子を見ながら、サチは(お母さんは違うって言っていたけれど、やっぱり松村さんって、引率の先生みたい。)と感心。自分も荷物の運び入れを手伝おうと、一番重そうな荷物を物色していたのだが、
 「あ、さっちゃんも手伝ってくれるの?ありがとう……。じゃあ、これお願い。」
 とサチの様子に気づいたおばさんから渡されたのは、一番軽そうな紙袋。
 中には、紙コップとか割り箸とかが入っていた。
 自分が一番力持ちの筈なのに、ズルしているみたいでイヤだな……と思ったサチであるが、不満そうな顔をしている様を綾子に見咎められ、やや渋々といった形で渡された紙袋を下げて綾子と並んで公園へ。
 「松村さんにも言われただろう。“力”を使うところは見せるなって。」
 並んで歩きながら、母の綾子に耳元で囁かれるまで、その不満は消えなかったサチである。
 そんなサチの心情を知ってか知らずか、マメタロウとヤマト、この二匹の町内の名物動物は、それぞれにじゃれ合いながら、サチの後をついて公園へと向かっていた。


 公園に入り、場所取りをしている筈の火野さんを探していた面々であるが、幸いにしてその場所はすぐに分った。火野さんの放つ大声が聞こえてきたからである。
 「タコって言うな!!タコって!!」
 何やら隣り合った場所のグループと揉めているようである。
 「うっせえよ、タコ。タコにタコって言って、何が悪いんだ、タコ!!」
 火野さんに毒づいているのは、どうやらまだ若そうな男、何だか尖ったように細い顔の持ち主のようである。
 「あーあ、火野さんに“タコ”なんて言っているよ。」
 「火野さんに向かって、タコは禁句だろう。」
 「商売はタコ焼き屋さんだけどね。」
 町内会の面々が言うとおり、タコ焼き屋を生業にしていながら、火野さんはタコ呼ばわりされるのを極端に嫌う。
 実は、火野さんの正体は、古代の火星人であり、普通に人間に見える姿は偽装した姿。言ってみれば、着ぐるみを着込んだ姿なのである。
 その中にある真実の姿は、多足の軟体動物を彷彿とさせる姿。たまに背中のチャックが開いている時などは、その足はマメタロウやヤマトに何度となく食べられかけている。
 「要は、タコとは違うと言いたいんだよ。似ているだけに腹立たしいんだろうね。」と母親の綾子は言うが、だったらタコ焼き屋さん以外の仕事をしたらいいのに、とサチなどは思う。そのあたりは大人ならではのやむにやまれぬ事情があるらしいのだが。
 「いいから、お前はお前のお仲間が来るのを待っていろよ、このタライ野郎!」
 この火野さんの言い返しを聞いて、松村さんと母親の綾子の顔が途端に曇る。
 「松村さん、タライ野郎って……。」
 「ああ。」と頷く松村さん。「どうやら、去年もめた連中とまた隣同士になったようですね……。」
 去年と聞いて、サチは首を傾げる。
 去年の今頃は、かつての秘密結社のアジト跡で特殊水槽に浸かったまま眠りに就いていたサチである。綾子と松村さんのいう事情を何も知らない彼女は、くいくいと空いた手で綾子の袖を引き
 「お母さん、去年、何があったの?」
 と聞くと、綾子は少し考えてから後、答えてくれた。
 「まぁ、大したことではないんだけどね……。」
 言っている内容の割には、その表情は困っているようにしかサチには見えない。
 「去年は、別の町内会の面々と少し揉めたのさ。別に喧嘩というほどのことにもならなかったんだけどね。ただ、うちらとはそりが合わないというか……。」
 それは仲が悪いと言うことか?とサチが聞くと、綾子は吐き捨てるようにして、こう答えた。
 「だって、あいつら、非科学的なんだもの……。」
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