鹿男あをによし(万城目学)← 電子書籍
事前に予備知識なく「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」(以下かのこちゃんと略称表記)を読んでいたので、その流れで。
この作品の主人公、「かのこちゃん」の主人公のお父さんなんですね。
ただ、「かのこちゃん」でのお父さんとはかなりキャラクター性に違いを感じました。
「かのこちゃん」で見せるほんわかとした感じはなく、研究室に居場所がなくなり、やむなく女子高の教師を務め、そして嫌々ながら訪れた運命と悪戦苦闘する不満の塊のような男。何しろあだ名が「神経衰弱」
ちょっとしたことでメンタルがやられると、途端に腹が緩くなると言う、悪い意味で現代的なインテリ青年です。
それがどうして「かのこちゃん」のお父さんのようになったのか、恐らくその解の一端はこの小説にあるのでは?と。
鹿、この作品での鹿は「神使」とでもいうべき存在でありますが、ある不思議な鹿との出会いと、不本意ながら果たさなければならなくなった「お役目」
その過程で出会ったヒロイン堀田イトとの交流が彼を変えていったのでは?と。
ただ残念ながら、「かのこちゃん」を読む限りではお母さんは堀田イトではないようなんですよね(間違っていたらごめんなさい)
ただ、かのこちゃんとお父さんのキャラクターを読む限り、お母さんもとても素敵な人なんだろうなと思いますよ。
で、「かのこちゃん」のことはそろそろ置いておいて(笑)
森見登美彦的な表現をするなら
また、阿呆なものを作りましたね。本当に阿呆なものを作りましたね。
というところか(笑)いや、本気で褒め言葉ですよ。
展開される物語は奇妙きてれつで、なのに最後はキチンとオチが付く。
「泣き」と「笑い」のバランスで言えば、お話の九割近くは、「笑い」の方向だと言っていいのでは?
でも、ちょっとほろりと来てしまう場面もあります。何しろ、堀田イトがいい子すぎる。最初の段階では、結構トンデモ系のヒロインだったのに。
いや、ストーリー自体がトンデモ系といえば、それまでなんですが。
内容のことは殆ど触れなかったが、邪馬台国=畿内説をとる立場の人は読んでおいた方がいい(謎)