ドキドキプリキュアって、いままでのキャラクターの総決算的な要素を感じるんですよ。
と無関係な前振りの後で、小説二篇の感想です。
「ぼくと、ぼくらの夏」←電子書籍
著者樋口有介さんのメジャーデビュー作。
後の柚木草平シリーズを思わせる洒脱な台詞のやりとりと都市生活者ならではの気怠い空気感、そして何より苦い結末。
刑事の息子である「僕」こと戸川春(しゅん)と酒井麻子は、自殺したクラスメイト岩沢野訓子の謎を追うことになった夏休みの日々を描く青春ミステリともいうべき傑作。
かの開高健が絶賛している通り、作中の「軽さ」は主人公春のキャラクター性と相まっていい味を出しているし、ひとつの事件の決着が「僕」の日常を確実に変えていき、いままで身近にありながら見えることのなかった周囲の人々の裏側をあらわにしていく感じ。
私は、読む分には小説の記述スタイルとして、三人称か一人称かは問わないタイプだが、この小説、いや恐らくは樋口有介の小説には、この一人称のスタイルが合っていると思った。
で、いいなと思える小説に出会えると、私はいつもその小説が他の人にどう受け止められているか知りたくて検索をかけたりするのだが・・・・・・
なぜ、同タイトルのエロゲ-ばかりが検索にひっかかる(爆)
で、検索していまさらながら知ったのだが、この小説、一度映画化されているのですね。和久井映見主演で。
90年代の時点で、映像作品の主人公は、ヒロイン主導型になっていたのか。
このお話は、あくまでも「僕」の視点だからこそ面白いと思ったのだが。
泣く子と美少女には勝てんな(笑)
脈絡ないが、次の映像化の機会があれば、是非とも「僕」を主人公にして欲しい。出来れば、新海誠あたりの手で。
いや、青春ミステリとして古典部シリーズはもう余所に作られているんだから、新海監督にはこれに手を出して欲しいなと(笑)
「カナクのキセキ」←電子書籍
ラノベです。
いわゆる
あこがれの美少女と一緒でドキドキ
しかも実は相思相愛
実は主人公チート
という定番(思春期煩悩刺激型)フォーマットですが、最後のオチが(途中で読めるのだが)悲恋ものになるとは・・・・・・
で、これなにげにDLしてから続きがあることに気がつき、読んでみたのですが、意外とハードな方向にお話は振り切っていくという。
特に二巻の主人公が実は・・・・・・という展開はストーリーの最終段階まで考えればよく考えられているなと。
で、ふと思ったのですが、これはその年の新人賞入選作。
ということは、最初の一冊で本来は完結している筈。
で、ふと思ったのは、5巻通してのストーリーというのは、最初から構想されていたのかなと?
一応、考えられるのは
(1)考えていなかったが、シリーズ化の要請に伴いとにかく続きを書きながら世界観を構築した
(2)最初から構想としてあったが、コンテスト用に最初の部分だけで(ひとつの作品として)完成させたのが最初の巻
(3)続きを書くために、受賞作に加筆修正を加えて「布石」を打った。
というラインかな?と。
答えは関係者にしか分からないのだろうが。(1)が答えじゃないかな?という気はする。特に根拠はない。
いつも感想にサムネイルを張るのだが、5冊もあると非常に無駄目立ちするので、出版社のリンクだけ貼っておく。
愛する少年の為に魔女となった少女と
愛する少女のために魔王となった少年の
恋物語というべき物語。