参加している某コミュの企画テーマの一つが「実在する(した)建築物」というので、こういうのを考えてみた。
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西暦20XX年、遂に東京タワーの取り壊しが決定された。
この決定に対し、様々な意見が交わされている中――
突如として、鳥形の巨大生物が飛来し、地上120メートルの高さにある大展望台の屋上に舞い降りたかと思うと、人々がおののきつつ見守る中、巣作りを始め、そこに卵を産み付けた。
鳥形の巨大生物が卵を温めているそのさなか、今度は海より巨大な芋虫を思わせる巨大生物が現れたかと思うと、これもまた東京タワーへと一直線に向かい、タワーにとりつくやいなや、あっという間に周囲をはき出した糸で包み込み、これまた巨大な繭を作り出した。
鳥と虫、二体二種類の巨大生物たちがタワーにとりついてから数日後――
卵からは親鳥によく似た生物が生まれ、繭からは蛾を思わせる巨大な生物が現れた。
夕日が空を赤く染める中、巨大生物たちは、それぞれまるで東京タワーを傷つけることを最小限に抑えようとするかのようにその巨体に似合わぬ静かさでタワーから羽ばたくと、何度も何度もタワーの上空を周回し、やがて夜の闇に紛れて、いずこともなく姿を消したという。
東京タワーがなくなることを惜しんでいるのは、人間だけではなかったようだ。
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いや、これを以て、企画参加作品とするつもりはないですけどね(笑)
タイトルは「思い出作り」とでもする?