もうしばらく、日常パートは続きます。
下町だと、洋菓子屋の看板娘さんって、結構目立つ存在じゃないのかなぁ?
・・・実にいまさらな話ですが(笑)
そして、さらなるいまさらだが、毎回ではないにしろ、最近のお気に入りは「ブラタモリ」
ライダーと並んで、私が意識的に見ている数少ないテレビ番組のひとつだ。今週の秋葉原→万世橋→靖国通りは、実に面白かった♪
民放も、もうちょっと頑張ってくれ。
騒ぐだけが、芸人並べるだけが、バラエティじゃないぞ。
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一方、動物病院の入り口を前にしたサチ。
緊張した面持ちで接触式の自動ドアとなっている入り口をくぐり、病院の中に入ると、幸か不幸か先客の飼い主もペットも見あたらなかった。
「どうなさいました?」
エントランスから入ると、すぐ正面に受付があり、そのカウンターから白衣を着た若い女性が話しかけてきた。
「あ、あの……わたしじゃなくて、このわんちゃん。」
おずおずと抱きかかえた子犬を差し出すように見せるサチ。
「うん、分っているよ、ここ動物病院だから。」
その様子を見て、受付の女性はにこやかに答える。
指摘された側のサチは、顔を伏せる。
恥ずかしかったのだ。
何しろ、彼女の場合、動物病院と言わず、病院と名のつくところに入るのは初めてだったのだ。学校の保健室にすら入ったことはない。
「うん、そのわんちゃん、何だかぐったりしているね?話はあとで聞くから、とにかく中に入って。うちの病院、靴は履いたままでいいから。」
サチが顔を伏せたのが気になったのだろう。受付の女性は、中に入るように促しつつ、奥にいるのだろう医師を呼び始めた。
「先生、患者さんです。あの新しいお菓子屋さんの娘さんが来られてますよ。」
この呼び方に、サチは思わず顔を上げる。
どうして、この人は自分のことを知っているんだろう?
そうした疑問が、表情に表れていたのだろう。受付の女性は
「ねえ、あなた、あのグリーンリバーってお店の子でしょう?わたしも先生も甘い物が好きで、休憩時間に食べるお菓子、よく買いに行くのよ。いまは学校が始まっているから、顔を合わせることはないけれど、お店がオープンしたのって、夏休みシーズンだったから、あなたよくお手伝いに店に出ていたでしょう?だから、憶えていたの。エプロン姿がよく似合っていたから。」
サチがオープン当初、店に良く出ていたのは、夏休み中だったからというよりも、覚醒したばかりで、まだ戸籍なども取得していなかったため、どこにも出かけなかったからなのだが、さすがにそうした方向に想像力は働かないだろう。それに、夏休み期間中だったことには違いないので、彼女の認識はあながち間違っているとも言えない。
思いもよらないところで顔を憶えられていたサチは、ここでぺこりと頭を下げる。
「あらあら、お菓子を買っている常連客におじぎだなんて、やっぱりしっかりしているわね。」
女性の方では、サチの態度を商売人の子供らしき気遣いと取ったようだが、サチ自身としては、どう対応していいか分らない故の態度に過ぎなかったのだが。
「とにかく中に入って。先生、待っているから。」
サチはもう一度おじぎをして、指定された方向に歩いていくと、そこには白衣を着、口元にひげをたくわえた中年男性が待っていた。
「じゃあ、そのわんちゃん、この診療台に載せて。」
獣医師と思しき男性は、優しい口調でサチにそう促した。
言われるまま、サチが白く清潔な診療台に子犬を載せると、獣医師は今度は自分の前の丸椅子に座るようサチに促す。
「じゃあ、お嬢ちゃんがこのわんちゃんとここに来る迄の話を聞こうか?どうして、このわんちゃんが弱っているのか、原因を知りたいからね。」
サチは頷きつつも、頭の中で橋のたもとで拾ったことは黙っていようと考えた。
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う~ん………獣医師とどんな話をさせるのか、まだ考えていない(爆)